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新卒獣医が小動物臨床を1年間経験した感想

初めての1枚

 

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自己紹介

2012年に麻布大学獣医学科に1浪の末入学。

入学してから5年くらいは具体的な将来設計などはしておらず、漠然と「動物に携わる仕事がしたい」と考えながら学生生活を送っていました。

好きな科目なども特にはなく「敢えて言うなら基礎系(感染症や組織精検など)よりは臨床系(外科や内科)の方が興味がある」程度の考えしか持っていなかったですね。

3年生の時には「身近な病気に詳しくなりたい」という理由で感染症関係の研究室に入室し、そこで基礎系にも臨床系とは違った面白さがあると気づいたものの「実験関係の仕事に就きたい」と思えるほどでもなかったため、いつまでも進路については悩みながら毎日過ごしていました。

そして最終的に小動物臨床へと就職し、1年間で2つの病院で働いたのち、小動物臨床から手を引くことになりました。

動物病院へ就職した理由

就職を決めた大きな理由は3つあります。

1つは「就活が楽だったから」。6年生当時の私は学会発表に卒業論文と日々実験に追われており中々就職活動をする時間がなかったうえ国家試験に関する勉強に本腰を入れていなかったの為、就職する際に試験などが必要でないという点だけでも小動物臨床は魅力的でした。

2つ目は「待遇が思っていたよりも優遇されていたから」。私は就活を始める前「小動物臨床は丁稚奉公のように少ない賃金で休みなしで働かなければいけないんだろうな」と思っていたのですが様々な病院の求人を見てみると、完全週休2日の病院や残業代がきちんと支給される職場が意外と多く、また「1年目でも月給30万円」という好待遇なところが多かったので当時は衝撃を受けました。

そして最も大きな理由である3つ目は「心のなかに漠然とした小動物臨床に対する憧れがあったから」です。

この憧れはギラギラとした滾るようなものではなかったですが、何か別の進路について考えるたびに「本当に小動物臨床じゃなくていいのか?」と脳に訴えかけてきました。また誰かに獣医という職業に話す時もまず最初に病院で働いている将来像が見えてくるので「将来的に違う業種に就くとしても、この業種を経験しないまま生きていたらいずれ後悔することになる」と思うようになったので最終的には動物病院で働くことに決めました。

1年で退職を決めた理由

私が2つの病院で働いて気づいたのが

①動物病院は技術を習得できるような環境ではない

②自分や家族のプライベートを犠牲にしなければ成り立たない職業

③小動物臨床という業界自体の先行きが不透明

ということ。

1つ目はこの業界では教育制度自体がないだけでなく常に人手不足でみんなが毎日慌ただしく働いています。なので「見て覚えろ」と言われても実際は見る暇もなく中々技術や知識が身に付かないというのが現状です。

2つ目、たしかに病院によっては完全週休2日制のところもありますが実際は自分の担当している動物が入院している場合は休日にも様子を見に来なければいけないことも多く、場合によっては容体が急変すれば夜中でも処置をしに来なければいけません。そうすると獣医本人は勿論その家族にも迷惑(?)が掛かり、結果的に家庭環境が荒れてしまう人たちが多かったです。

そして3つ目、この業界で働いている人ならご存知だと思いますが日常的に使うありとあらゆる物が値上がりしています。ペットフードから始まり、縫合用ナイロン、PDS、カテーテルから電気メス用のケーブルに至るまでです。ただでさえペット数が減少して業界の先行きが不安なのに避けられない消耗品の値上げまで加わってくると正直、いわゆる獣医として働き続けることができるのか分からなくなってしまいます。

感想・今後の予定

動物病院のお医者さんは、たしかにやりがいに満ち溢れているし世間からみてかっこいい職業だと思いますが同時に犠牲にしなければいけないものも多く、また安定していて働き続けることができるとは限らない業種だなと思いました。(それにやりがい自体もこの職業にしかないものではないのでありませんですし・・・)

次にどの職業に就くかは決めていませんが、どうせなら働き始める前に獣医にしかできない事(ボランティア、麻酔猟銃免許の取得など)を試してみたいのと、小動物臨床から離れる前に大学病院の研修で最先端の技術に触れてみようかと思います。

 

なにかいいアイデアがある方はお問合せフォームやツイッターからご連絡をくれるとうれしいです!

 

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