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【2020】第71回獣医師国家試験の勉強法を考える3

前回】は国家試験の全体的な勉強の流れや教材について紹介したので今回は各科目の具体的な勉強方法について書いていきたいと思います。

 

目次

  1. 出題が多く絶対に対策が必須な科目
  2. 覚える事が多く早めの勉強が必要な科目
  3. 勉強は必須だが後回しでもよい科目
  4. 気ままに勉強すればいい科目

勉強してる人

出題が多く絶対に対策が必須な科目

・外科

出題数がかなり多く、学説A,Bでは麻酔、骨疾患の犬種差、運動ニューロン徴候について、学説C,Dではレントゲン画像から骨折や大腿骨形成不全、MRIを用いてヘルニアや脳疾患に関する問題が出されることが多い。

問題の内容的には毎年手を変え品を変えて色々な出題方法がなされているが、内容としては似たようなものが多く、過去問を繰り返し解くことによって短期間で得点率を高めることができ、胃捻転、レッグペルテス、膝蓋骨脱臼に関しては親の顔より見ることになる。「先に解剖学を勉強してからの方が勉強のコツが掴めるのでは?」と思うかもしれないが、各種臓器の位置や正常像を覚えておけば十分頭に入るはず。少し細かいかもしれないが中手骨などの末端方面の骨の名前も覚えておくと得をする。

近年デブリートメントや外科器具、切開方法に関する出題が1題だされているので臨床経験がないと取っ付きにくいとは思うが対策が必要となる。

逆に、保定方法や縫合糸の種類、採決方法などに関しては出題されないかあるいは問われても基本的な内容であることが多いのでそれほど力を入れて勉強をしなくても大丈夫かもしれない。

 

内科

外科と同様に毎年多くの問題が出題され、心疾患や肺水腫、腎疾患、血検異常値、ホルモン異常、聴診場所に至るまで幅広い分野の問題が出題される。やはり勉強方法は過去問を解くのが最も効率的で、アイゼンメンジャー症候群、各種心筋症、胸水、腎・尿路結石、ダウナー症候群、創傷性第二胃腹膜炎や心内膜炎などは定番問題である。

心臓に関しては細かく問われる問題が多いが心電図に関してはそれほど難しい問題は出されないのでダガーシェイプなどの覚えやすい所から手を付けていくといいと思う。

 

・公衆衛生

出題数が多いわりに過去問を解いても点数が伸びにくい厄介な科目。統計、水質汚染、乳検査、HACCP辺りの問題は簡単だが、感染症関係はがっつり勉強をしていないと安定して点数を伸ばすことはできない(内容的には伝染病学と被る部分も多い)。文章問題よりも画像問題の方が解きにくいが前回の記事でも述べたように教科書【獣医公衆衛生学-獣医公衆衛生学教育研修協議会】からグラフが引用される場合も多く、場合によっては章末問題とも類似する問題が出されることもあるので熟読はせずとも目は通 しておいた方がよい。

近年、地球温暖化に関する内容の難しい問題が1題出題されていて、対策自体は出来るだろうが効率的と言えるかは正直疑問。

 

覚える事が多く早めの勉強が必要な科目

・寄生虫

他の科目は別の科目の知識を応用したりあるいはその場で考えて正当に行き着く場合もあるが、寄生虫に関してはピンポイントで勉強をしておかないと答えに辿りつけない事が多い。内容としてはそれほど難しい訳では無いが、苦手意識がある人が多く生活環や中間宿主がきちんと頭に入っていないと思うように勉強がはかどらずにイライラするかもしれない。生活環や宿主、治療薬、病原体に似たような名前が多いので覚えることが多くて大変だが一定量覚えてしまえばそこからはすんなりと勉強できると思う。

この科目は過去問を解くよりも先にまとめや教科書である程度知識をつけておく必要があると思う。

毎年1題くらいこんなの解ける訳ないだろ!と叫びたくなる問題が出ている気がするのでそういうのは気にしなくてもよい。

 

・細菌

項目的にはものすごく覚えることが多い科目だが、実際にはグラム陰陽、好気性か否か、低温・高温で発育出来るか、芽胞を形成するか、などを覚えておけば残りは過去問を覚えるだけで意外と点数が取れる。

運動性、溶結性、オキシダーゼ、運動性、使用する培地は過去問に出てきたものだけを覚えるようにしてもいいかもしれない。

レーウェンフックやジェンナーなどの歴史上の人物の功績を覚えるのも忘れずに。

 

・ウイルス

とりあえず核酸の種類、ウイルス目、カプシドの有無、エンベロープの有無を記憶しておかないと話にならないが逆に言えばその辺りを押さえておけば、後は文節のあるウイルスや特徴的な形状のウイルスなどを過去問を解きながらを順々に覚えていくだけでなんとかなる。

近年ウイルス粒子の大きさを比較したり、核酸の構造からウイルス名を問うような難しい問題が出題されるようになった。そういう時はとりあえずアデノウイルスを基準にして考えるとよい(出題傾向としてアデノウイルスが選択肢によくでる)。

余談だがウイルス学の選択肢になぜか毎年ボルナウイルスが出てくるがそれが正当だったことは今までほぼ無いので、そろそろボルナに関する問題が出るのではないかと思っています。

 

・薬理

申し訳ないですが、この科目に関してはひたすら教科書を覚えろとしか言えないです・・・。教科書↓

【獣医薬理学―獣医学教育モデル・コア・カリキュラム準拠】

過去問を解いても出題傾向がそれほど一定でいなかったり、そもそも知識を応用するというよりはしっかりと薬の区別がついているかを問うような内容が多いので時間をかけて覚えていくしかないと思います。

コアカリ準拠なので章末問題は解いていた方がいいと思いますね。

 

・伝染病

これもひたすら覚えていく科目で、レゼルボア、バイオセーフティレベル、異常産を起こす病気が重要なので先に覚えるといいと思います。あとは順次覚えやすいものから勉強するか、法定伝染病や届出伝染病、Zoonosisからやるしかないですね。

北大まとめの表が上手くまとまっているので勉強方法に迷っていたらまずはそれを覚えましょう。

日本や海外での発生の有無、ワクチンの種類、ベクターなど覚えることは多いですが、上記の細菌、ウイルス、寄生虫、公衆衛生などと絡んでくる分野なので努力が無駄になる可能性は低いはずです。

 

勉強は必須だが後回しでもよい科目

・臨床繁殖

出題数はそこそこあるが過去問と酷似した問題が多いうえ、必要な暗記量もそれほど多くないので、他に不安な科目がある場合は臨繁は後回しにしても恐らく問題ない。

 

・魚病

臨床繁殖と同様それほど難しい内容は問われない。しかし大多数の人は病原体の名前を覚えておらず、1から覚え治すことになるはずなので、そこだけは注意してしっかり覚えた方がいい。

 

・解剖

出題数もそこそこあり対策は絶対に必要なのだが如何せん全て覚えるのは難しすぎる。この科目をマスターしようとするといくら時間があってもキリがないので半分くらい覚えたら他の科目の勉強に移った方が良いと思う。

 

生理・生化学

内容が暗記系というよりは理論付けられているのですんなりと頭に入ってくるはず。過去問に挑戦して苦戦したら勉強するという形でよいのでは。

 

気ままに勉強すればいい科目

・衛生→暗記するだけ。得点率8割くらいなら楽に取れる。

・法律、倫理→必須科目だから簡単。

・病理→問題を解いて数をこなすしかない。他の科目の知識で選択肢が絞れる。

・実験動物→難しい問題も混ざっているが勉強範囲は狭い。画像問題はとある実験動物センターから引用されることが多い。

・毒性→出題範囲が狭い。内容が薬理と被る。

・放射→国家試験で問われる内容は限られている。

・発生→ややこしいけど出題数、出題範囲が狭い。

・家禽→過去問通り。出題範囲が狭い。

・遺伝→出題数が少ない。

・栄養→内科と内容が被る。

・行動→出題数が少ない。そもそもまともな教材がない。

 

以上が私の個人的な各科目の勉強方法になります。

参考になったかは分かりませんがこれにて第71回獣医師国家試験に関する考察は以上になります。

ご拝読ありがとうございました。

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